無性にイライラしてた。
無性に一人になりたくなかった。
無性に誰かにそばにいてほしかった。
雨降りの駅のホーム。
となりの女の子が泣きながら電話をしてる。
ううん、泣き叫びながら電話してる。
「約束したじゃん! ねえトシ、約束したじゃん!
守ってよ、絶対約束守ってよぉ」
いいなぁ、この子。
泣ける相手がいて。
泣いてるはずなのにわたしよりこの子の方がずっとあったかいとこ
いるんだって、そう感じた。
私も誰かに泣きつきたい。
そう思ったら涙が流れた。
どうしてこんなに悲しいんだろう。
どうしてこんなに苦しいんだろう。
どうしてほんとの気持ち、
電車が来た。
わたしは涙を拭いて電車に乗る。
女の子は叫び続ける。
あったかいとこに行きたいと、とわたしは思う。
そう、あったかいとこ。
沖縄? ハワイ? ううん、そうじゃない。
もっともっとあったかいとこだ。
どんなわたしでも受け入れてくれる場所。
あの子みたいに電話して泣ける場所。
胸の苦しいところそっくり見せられる場所。
こんな悲しい夜にあたたかく迎えてくれる場所。
手すりに寄りかかり窓の外を見る。
雨に滲んだ街がいつもより澄んで綺麗に見える。
また涙がこぼれた。
右から左から溢れて止められなかった。
あったかいとこ、きっとある。
わたしにも、きっと。
頬を濡らす涙が少しだけあったかかった。